導入事例Case study

2025年10月08日

アコム株式会社様

  • 規程管理システム
  • 金融機関

アコム株式会社「文書の形式に縛られない柔軟な運用が可能に」

アコム株式会社様は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の一員として、個人向け金融サービスを中心に事業を展開されている企業です。
1936年の創業以来、消費者金融業界のリーディングカンパニーとして、ローン・クレジットカード・信用保証・債権管理など多岐にわたるサービスを提供し、
国内外で高い信頼と実績を築いてこられました。
業務の正確性とスピードが求められる金融業界において、社内文書の整備と運用効率化にも積極的に取り組まれており、今回は当社の規程管理システムをご導入いただいた背景と、導入後の効果について詳しくお話を伺いました。


導入の背景と課題認識

──まずは、導入のきっかけについて教えてください。
平成28年に社内で「マニュアル等に関するアンケート」を実施したところ、「分かりづらい」「探しづらい」といった声が多く寄せられました。
特に、図や画面キャプチャが少なく、テキスト中心の構成が理解を妨げていた点が大きな課題でした。

──具体的にはどのような点に課題を感じていたのでしょうか?
業務によっては複数のマニュアルや帳票を参照する必要がありましたが、リンクが設定されていないため確認に時間がかかるケースが多く、情報へのアクセス性に課題がありました。
また、文書の形式(内容の構成やファイルの種類)に縛られていたため、必要な情報をすぐに取り出せないもどかしさも感じていました。

──管理側としての課題もありましたか?
はい。改定理由や見直しポイント(次回の改定箇所や申し送り事項)の管理方法が統一されていないことなどにより、担当者の異動時に情報の共有が十分に行われないケースが生じることがありました。
さらに、指示文書(通達)がマニュアルに反映されないまま運用されるケースもあり、文書の整合性や検索性にも課題を感じていました。
特に負担が大きかったのが、新旧対照表の作成です。Wordファイルに修正履歴を残しながら変更点を説明するのは手間がかかり、改定内容の共有にも時間を要していました。

──そうした課題を受けて、システム導入を検討されたのですね。
ちょうどその頃、ある展示会で御社のデモンストレーションを拝見する機会があり、「これなら当社の課題を解決できるかもしれない」と感じました。
導入検討の初期段階では他社製品も候補に挙がっていましたが、機能面だけでなく、ID無制限であることによる費用対効果や導入までのスピード感を重視した結果、最終的に御社のシステムを選定しました。
柔軟な対応力とコストパフォーマンスの高さが、導入の決め手になったと感じています。

導入時の環境選定とクラウド移行の背景

──導入当初はオンプレミス環境での運用を選ばれましたが。
はい。当時はクラウド環境に対して、「データを社外に出すのは不安」といった声も多く聞かれました。そのため、社内の理解を得やすく、導入のハードルが低いオンプレミス環境での運用を選択しました。

──その後、クラウド環境への移行を決断された背景には、どのような課題があったのでしょうか?
オンプレミス環境では、担当者の異動によって契約内容の把握が不十分になり、アップデートのタイミングを逃してしまうことがありました。その結果、長期間にわたりOSやミドルウェアのバージョンアップが行われず、更新が滞っていました。こうした状況を踏まえ、クラウド環境であればバージョンアップが自動で行われ、管理負担も軽減できると考え、抜本的な改善策として、クラウド環境への移行を決断しました。

──クラウド移行に際して、セキュリティ面での懸念はありましたか?
もちろんありました。ただ、御社に以下のような対応をしていただいたことで、安心して移行することができました。
 • 共有型のパブリッククラウド環境ではなく、専用インスタンスを活用した仮想プライベートクラウド(VPC)構成により、
 論理的に分離された高セキュリティな仮想ネットワーク環境
 • IPアドレス制限の設定
 • 本番環境とテスト環境の2台体制をクラウド上でも再現
これらの対応により、オンプレミスと同等のセキュリティレベルが確保され、社内でも安心感を持ってクラウド運用に移行することができました。

──クラウド環境でのバージョンアップ対応についてはいかがでしたか?
最近のバージョンアップでも、業務への影響は最小限に抑えられています。作業時にマニュアルの閲覧ができないことを懸念していましたが、あらかじめ本番環境と同様の確認用環境を用意していただくことで、業務に支障なく対応することができました。
特に、24時間体制で業務を行っている部署でも、必要な情報を問題なく確認できるようにしていたため、スムーズに運用できました。

カスタマイズ対応と運用の工夫

──自社向けの設定やカスタマイズが可能だったことは、導入の安心材料になりましたか?
はい。当時は「こうしたい」「あれもやってほしい」といった要望が多く、それに柔軟に対応していただけたことで、導入に対する安心感がありました。特に定期的に文書を棚卸しすることで、時代に合った内容への更新を促すことを可能とする「見直し期間」カスタマイズは、規程・マニュアルなどの規範性文書の有効性を維持する仕組みとして非常に効果的に機能しています。以前は見直し期限を別途管理しており、棚卸しが完了するたびに一覧表を手動で更新していました。しかし導入後は、見直し期限一覧が自動で表示されるようになったため、初期段階での対応は非常に助かりました。

ハイブリッド管理で実現する柔軟かつ効率的な文書運用

──システム導入後に得られた具体的な効果や、文書運用の改善点についてお聞かせください。
エディタ形式による文書登録では、改定作業の効率化と情報管理の精度向上が大きく進展しました。特に、新旧対照表の自動作成機能によって変更箇所が一目で把握できるようになり、上司や関係者への説明もスムーズに行えるようになりました。以前はWordファイルに修正履歴を残して説明していましたが、抜本的な変更があると内容が伝わりづらく、説明に時間を要していました。
現在の規程管理システムでは、自動作成された新旧対照表も編集可能なので、備考欄を活用することで、「何を」「なぜ」変更したのかが明確に記録できます。これにより、属人化の防止や業務の引き継ぎにも効果を発揮しています。
また、エディタ形式だけでなく、マクロや関数を含むExcelファイルなどのofficeファイルもそのままファイル形式で掲載・活用できるハイブリッド管理になっている点も大きなメリットです。
さらに、エディタ形式では関連文書へのリンク設定が可能であり、マニュアルからファイル形式の申請書に直接アクセスできます。これにより、業務の流れが明確になり、検索や確認にかかる時間が大幅に短縮されました。ファイル形式の文書もプレビュー表示に対応しているため、ファイルを開かずに内容を確認できる点も便利です。

──金融業界特有の紙文書が多いことにも対応されていますか?
はい、対応しています。当社では、マニュアル以外にも申請書・報告書・請求書・受付記録簿など、多岐にわたる紙文書を取り扱っています。これらは部室や文書の目的に応じて分類・管理が可能であり、リンク機能を活用することでマニュアルを参照しながら関連帳票に直接アクセスできます。そのため、検索やダウンロードの手間も省くことができ、業務効率の向上につながっています。
常に最新の帳票を参照できることで、業務の正確性とスピードが向上しました。

──エディタ形式とファイル形式のハイブリッド管理は、単なるファイル登録以上の価値があるということですね。
その通りです。文書管理が「保存するだけの仕組み」から、「業務全体を支える仕組み」へと進化したと感じています。現場からも「使いやすい」「探しやすい」と好評を得ています。

閲覧サイトの使いやすさが社内浸透を後押し

──導入された閲覧サイトについて、社内での反応はいかがでしたか?
非常に好評です。まず、UIがシンプルで直感的なので、初めて使う社員でも迷わず目的の情報にたどり着けます。複数条件による検索ができるので、文書の種類や属性情報を組み合わせて効率的に探せるようになりました。特に、所管部署や文書種別など、業務に即した検索条件を設定できる点が便利です。新旧対照表が閲覧者側でも確認できる点も好評です。また「お気に入り登録機能」は、各ユーザーが頻繁に参照する文書をすぐに呼び出せるので、日常業務で重宝しています。
※以下が初期導入数か月後の社内アンケート結果となります。
・回答率85%
・検索機能について
 92.2%が検索機能を使用
 利便性向上が感じられる項目として、50.8%が検索機能と回答
 リンク機能使用者のうち93.7%がリンク機能を便利と回答

まとめ

アコム株式会社様の事例は、「文書の形式に縛られない柔軟な運用」がいかに業務改善につながるかを示す好例です。ハイブリッド管理の力で、文書管理は“制約”から“選択”へ。
今後も、業界のニーズに応える進化を続けてまいります。

本件に関するお問い合わせ先

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