コラムcolumn
2026年10月20日
長期継続契約について

地方自治体の契約実務では、毎年同じような仕事を発注しているのに「年度をまたいで契約してはいけないのか」と疑問に感じる方もいるかと思います。
地方自治体の会計は単年度が原則で、地方自治法では各年度の歳出はその年度の収入で賄うことが求められています。
このため通常の契約は当該年度内に履行が完了し、支払いも終わる形が基本です。
しかし電気やガスのように、性質上、毎年連続して利用することが予定されているものについて、毎年度一から契約するのは効率的ではありません。そこで地方自治法第234条の3は、こうしたケースに限り、翌年度以降にわたる契約を認める制度として「長期継続契約」を規定しています。
つまり長期継続契約は、単年度会計原則の例外として、法律が特別に認めた仕組みであり、何でも自由に複数年契約にできる一般ルールではないという点が重要です。
さてここで1つの事例を考えてみましょう。給食の調理に係る業務を長期継続契約とすることができるか、という事例です。地方自治法第234条の3で認められている内容を整理すると次のとおりです。
②電気通信業務の提供
③不動産を借りる契約
④その他政令で定める契約
①~③には該当しませんので、④に該当する契約であるかを確認してみましょう。ここでいう政令は地方自治法施行令になります。地方自治法施行令第167条の7を整理すると次のとおりです。
❷物品の借り入れ又は役務の提供である契約
❸契約の性質上、翌年度以降に契約でないと事務に支障を及ぼすようなもの
❹条例で定めるもの
上記の❶~❹のすべてに該当する必要があります。すなわち❶~❸に該当する場合であっても、自治体が条例で定めていいなければ長期継続契約はできないことになります。
習志野市の条例では次のような規定になっています。
長期継続契約を締結することができる契約は・・・・庁舎の管理、機械警備その他の規則で定める
役務の提供を受ける契約であって・・・
給食の調理の業務は複数年による継続的な役務の提供を受けた方が備品の調達や人材の確保が容易であると思います。ただ、条例の中で「規則で定める」という規定があります。その規則(習志野市長期継続契約とする契約を定める条例施行規則)の規定は次のとおりです。
(規則で定める役務)
(1)庁舎の管理に係る業務
(2)機械警備に係る業務
(3)給食の調理に係る業務
以下省略
このことから、習志野市では給食に係る業務について長期継続契約をすることができるということになります。
まとめの視点として、長期継続契約は、単年度会計の原則に対する「特例」であり、対象となる契約は、法律、政令、条例で多重に限定されます。給食に係る業務は、その性質上、継続的役務として長期継続契約の対象とする合理性が高く、習志野市の法令体系に照らしても、長期継続契約とすることが認められるということになります。
気を付けなくてはいけないこととして、「給食の調理に係る業務は長期継続契約ができる」とだけ覚えてしまうと本質的なことが見えなくなってしまいます。
今回の事例の回答としては次のようなものが考えられます。
「給食の調理に係る業務の内容が役務の提供を受ける契約で、その契約の性質上翌年度以降にわたり契約を締結しなければ当該契約に係る事務の取扱いに支障をきたす場合であって、当該自治体において条例で定めのある場合は長期継続契約とすることができます。」ということになるでしょう。
システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)