コラムcolumn
2026年02月18日
支払遅延防止法について

自治体側から請求書の日付を空欄にしてほしいと依頼されたことはありますか?本来は、請求年月日である日付を明記することは支払期日や遅延損害金の起点となり、架空取引などの不正を防ぐ意味からも必要な項目です。
では、このような事例が何故起きるのでしょうか?その要因のひとつとして請求書を受け取ってから一定期間内に代金の支払いをする義務があるからです。すなわち自治体側が事務処理に要する時間を確保するために請求日付を調整したい意図があると思います。当然ですが、法的に推奨される運用ではありません。
ここで、問題となるのは、請求日からいつまでの間に支払わなければならないかということであり、それは「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」の規定によります。契約書に定めがなければ15日以内、定めてあればその日数(ただし定められるのは30日まで)です。
このことから、請求日が空欄の場合、支払遅延防止法に抵触しないような日付を後から入れることは私文書偽造になる恐れがあります。
実務的には、請求日付から15日以内に支払うことは難しく、請求書が届いた日から30日以内の支払いをしている自治体も多いのではないでしょうか。この場合は相手方の事業者が支払いについて了解していると考えます。
ここで、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」を紹介したいと思います。この法律は、昭和24年12月12日法律第256号として成立しました(略称:支払遅延防止法)。14条からなるシンプルな条文です。この条文の第14条において、「この法律の規定は、地方公共団体のなす契約に準用する。」と規定されています。このことからすべての地方自治体がこの適用を受けます。この法律制定時から現在まで、基本的な内容は変更されていません。
強いていえば、法律制定時は、日本が連合国軍の支配下の影響を受けていたことがわかる、昭和25年4月7日付理国第140号の大蔵省理財局長から各省(庁)官房会計課長宛ての当該運用方針の抜粋を紹介します。
・連合国軍の調達要求に基づき・・・・国の検収があったものとして処理することができる。
・ポツダム宣言(昭和20年勅令第54号)の受諾に伴い・・・・この法律の適用は受けない。
続いて、支払遅延防止法の基本方針がわかる内容を紹介します。
終戦直後、政府契約において、官尊民卑的な考えのもと、官庁側の一方的な支払遅延が顕著だったので、この法律が制定されたともいわれています。
自治体の支出の原則は、債権者のために行うことは当然です。このことから、正当債権者からの請求書を受理したならば、会計管理者としては内容を確認後、速やかに支払いの処理をどの自治体も行っていると思いますので、支払遅延防止法基づく遅延利息の事例は発生していないのではないでしょうか?
ところで、市の歳入(収入)の中で、国や県からの補助金収入などがあります。これは、国や県の事業または国や県の補助を受けた事業の事業費の国や県の負担分です。これらは、市の方で事業を実施し、支払いを行っています。簡単にいえば、市で一時的に現金の立て替えをしているようなものです。私が在職中に感じていたのは市の資金繰りの関係からも、遅延防止法の対象ではないかもしれませんがなるべく早く入金してもらいたいところです。
システム ディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)