コラムcolumn
2025年06月17日
求める公会計担当者について

今後も公会計改革を継続的に推し進める必要があると思います。そのためには、公会計担当者となる職員は、具体的にどのような人物が望ましいでしょうか?
まず、専門的な知識として、簿記の2級以上の資格又はこれに相当する知識が必要です。
なぜなら、財務書類を作成したり公会計独特の会計処理を理解するための基礎知識として必要ですし、日々仕訳による複式簿記を活用した財務会計システムを導入したり、職員研修等で指導的な立場に立つためにも、簿記の知識が必要となってくるからです。
しかしながら、この簿記2級の資格を有する人材の確保にはハードルが高いことが想定されます。私が習志野市に在職中、人事担当課に「簿記の資格を有している職員の情報提供」をお願いしたのですが、人事担当課からは「個人情報なので提供できない」とのことでした。では、職員から直接提供を受ければよいということで、私自身が多くの職員に「簿記の資格を持っている職員を知っていますか?」と口コミを含めて簿記の有資格者を探しました。併せて、公会計の勉強会を広く職員に募集した際に簿記の有資格の有無の情報を得ることができました。
最終的に、簿記の1級有資格者を含めて、2級や3級の有資格者が職員にいることが判明しました。このような職員に公会計の勉強会グループに参加をお願いし、多くの職員が参加してくれました。職員数が少ない自治体では、そもそも簿記の有資格者が少ないことも課題かと思います。
次に、実務的な経験者であること、つまり予算・決算事務を経験し、決算書の内容を理解できる職員であることが必要です。
なぜなら、複式簿記・発生主義の決算事務は、現行の単式簿記会計・現金主義会計の決算書を理解することが前提となっているからです。財政担当の経験者か各課における予算及び決算事務の経験者であることが必要だといえるでしょう。
最後に、係長として配置されることが望ましいと思います。習志野市では、これまでは主査や主幹の特命業務で対応してきました。しかし、それでは特命を受けた職員だけが担当となり、「係」という組織での対応が不十分になってしまいます。
公会計の業務を係の業務に位置づければ、係長が公会計改革の業務に対して責任をもって対応することができます。係長はその係の責任者として、係員に対して必要な公会計の業務命令を行うことができるからです。
求める公会計担当者として3つの条件を紹介しましたが、これらの条件以上に求められるのは、公会計に対する熱意があることが大事です。
システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)