コラムcolumn
2026年07月21日
自治体ではなぜ立替払いが認められていないのか?

民間企業では、立替払いは日常的に行われている経費精算の方法です。例えば、社用車で出張中に、有料駐車場の料金や高速代の料金などを社員が一時的に立替えて、後日、領収書などを添付すれば精算が可能かと思います。
自治体においては、このような「立替払」は現行制度上認められていません。では自治体においての「立替払」の定義を確認してみましょう。自治体が金銭を支払うべき経費について、自治体の職員が一時的に私金で立て替えて自治体の債権者に支払い、その後自治体が当該職員に同額を償還することをいいます。例えば、先ほどの民間企業の事例の様に、出張中に予期しない経費の必要が生じる場合もあります。有料駐車場や高速道路を使用する可能性がある場合はその必要額をあらかじめ資金を職員に前渡しすることは資金前渡という支出の特例で認められていますので立替払いを回避することは可能かと思います。しかし、資金前渡はあらかじめ出張前に申請する必要があります。私の経験から、出張前に想定していなかった高速道路を利用したことがありました。当然、そのお金は自腹ということになります。高速を利用する可能性があれば多少多めに申請しておくべきと思いました。
このような経験をした職員は多いのではないでしょうか。ここで、令和元年地方分権改革に関する提案募集で「非常災害時に立替払を許容すべき」との提案がありました。提案の概要は「現行は支出の方法として立替払の規定はない(地方自治法第232条の5②)。しかし大規模災害発生時に財務会計システムが使用不可となった上、資金前渡をしようにも金融機関も被災していたため、ガソリンの購入に当たり現金支払いを求められても対応できないなど、災害緊急活動に支障が生じる事態があった。」この提案に対して総務省は「立替払」を許容することは歳出予算外の支出をすることであり、予算がなくとも、また予算配当があってもそれを超えて支出するおそれがあり、職員の不適正な立替となりかねず予算執行の秩序を乱すものであり制度化するのは困難」との判断をしました。
しかし、やむを得ない事情で立替払を容認している自治体を紹介したいと思います。
〇香川県丸亀市:丸亀市監査委員会公表第4号(平成24年1月4日)より
また、やむを得ず立替払をした場合は、立替えた人から請求してもらい、立替えた人から領収を徴していただきたい。
〇宮城県亘理町:会計事務の手引き(令和5年3月31日)より
ただし、止むを得ない理由により立替払をしたときは、次のように処理してください。この場合であっても、安易な立替払はしないように、十分注意してください。
(以下省略)
民間企業において立替払いの状況に応じて、「立替金」「未払金」の勘定科目が使われています。
〇立替金: 会社が取引先や従業員に代わって一時的に支払った場合に用いる資産勘定です。
〇未払金: 従業員が会社の経費を立て替えた際に、会社が従業員に対して支払うべき金額を計上する負債勘定です。
自治体においても複式簿記の導入や職員の意識改革が進めば、立替払いを容認してもよいのでは思います。
システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)