コラムcolumn

2026年04月20日

請求書の不備について

 私が習志野市の会計事務を担当してしていた時の、よくある請求書の不備に関する実務を紹介したいと思います。
 消耗品費の請求書を業者から受領したところ、請求書の日付が空欄であったということは意外と多いケースです。この場合にどのような対応をするのが望ましいでしょうか。
 習志野市では、請求書に日付がない場合は、日付入りの受領印を押印しました。このことにより請求書の提出日を明らかにしました。日付欄が空欄の請求書を業者が提出してきた場合はその場で日付を書くように促しました。又は、日付を記載した上で、再度、請求書の提出をお願いしました。少し厳しいようですが、会計事務の処理は、適正な内容が記載された請求書、納品書などの会計書類に基づいて行われるべきとの考えからです。
 請求書の不備として多いのが「宛名」です。宛名は自治体が法律行為をなす主体者ですので首長になります。具体的には「〇〇市(町・村)長〇〇〇〇」になります。契約に基づいて、相手方が自治体に対して代金を請求する場合は、契約書に記名押印されるのは首長の印になります。そのため、契約に基づく請求書も首長ということになります。
 ところが、契約書の締結を要しない取引も多くあり、そのような場合などは「○○市○○課」とか「○○課〇〇様」といった請求書の宛名で請求されることがあります。厳密に審査するならば請求書の差し替えを依頼することもできるでしょう。そのあたりはケースバイケースで自治体によって判断が違う場合もあるでしょう。
 実務においては、宛名が簡略された名称でも、請求の相手方が特定できる場合は有効な請求書であると考えられています。最終的な判断は、地方自治法第232条の4の規定に基づく会計管理者の判断ということになります。私が会計管理者の判断の基準としていたのは、仮に会計管理者の判断の事案が訴訟になった場合でも勝訴できる自信があるかを基準としていました。

地方自治法第232条の4(抜粋)
 会計管理者は・・・当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと及び当該支出負担行為に係る債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出することができない。

 宛名不備の場合の習志野市の対処の仕方を紹介します。請求書の宛名はそのままにして、その上の余白に「習志野市長 〇〇〇〇」というゴム印を押す(あくまで補正ということで改ざんではない)処理を容認しています。この場合、請求書の宛名を二重線で訂正することはだめです。宛名の空欄も同様の処理で補正しています。このような請求書は消耗品費の購入や食糧費の支払いなど既に役務の提供が終了していることが容易に確認できることと、金額が僅少であることもその理由です。常連の業者であれば、次回以降は正しい宛名で請求するように依頼しています。また、私の経験では、宛名の市長氏名が違っていた場合もあったのですが、常連の業者であったこともあり、支払期日に余裕があったので、請求書の差し替えをお願いしたこともあります。
 市長選挙期間中、現職市長が立候補している場合、地方自治法第152条の規定に基づき、副市長を職務代理者とすることが一般的です。職務代理期間中の文書の発送や公印の押印など市長の職務を代理で執行します。職務代理期間中の文書の表記は「〇〇市長職務代理者〇〇市副市長」となります。職務代理期間中の市長宛の請求書を職務代理者に訂正させる必要があるのでしょうか?この場合、市長の氏名の表示は請求の効力に影響するものでないとして、あえて職務代理者に訂正する必要はないと判断してます。ただし、自治体が作成する文書や住民票の写しの発行などは職務代理者名で行っています。

システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)