コラムCOLUMN

2018/07/02

2018.07 新京都八景…七夕の宵☆京の天文台から宇宙を覗く☆

天の川 はやぶさ2が、2憶8000万km彼方の小惑星リュウグウに接近している。2014年12月に飛び立って以来32憶kmを飛行しての到着だ。45億年前の成分を持ち帰って、地球誕生-生命起源の謎を解明する人類初の試みである。超大国が軍事予算を際限なくつぎ込んで宇宙制覇を競っているのに比して、ささやかなではあるが、遙かに価値のあるチャレンジだ。3年後の2020年末頃に予定されている帰還の無事を星空に祈りたい。

 京都にも宇宙観測の拠点が二つもあることは、あまり知られていない。東山連峰の南端花山山(かざんやま)に1929年開設された京都大学の花山天文台、洛北の京都産業大学のキャンパス内の神山(こうやま)に2010年開設された神山天文台である。どちらも天文研究では大きな足跡を残し、特に花山天文台は既に100年に近い歴史を有してはいるが、京都ではまだまだ新参施設。それほど脚光を浴びることもなく、目立たない存在だった。しかし、世の中急速に宇宙時代となり、人々はロマンと合わせてサイエンスも求め、太陽活動や惑星の軌道は勿論、星の誕生・超新星の爆発まで手に取るように分かりたいと思うようになってきた。
 そこで求められるのが、『みんなの天文台』。まだ見ぬ宇宙人を含めたミンナの共有財産として大切にして、宇宙そのものとの接し方、付き合い方をアカデミックな研究の成果を踏まえて考えていこうということになったようだ。

天文台 花山天文台では従来から天体観測の他、ボランティア団体と共催で『京都千年天文街道』と称して、藤原定家の『明月記』に記されたハレー彗星や皆既日食、或は『本能寺の変の際の天変地異』等、京都と縁の深い宇宙現象を、現地を訪ね歩きながら探訪するイベントが行われている。神山天文台でも毎週土曜日に天体観望会が無料で開催されてきた。
 そして、この七夕の夕には、両天文台とも講演会と観望会が、火星が大接近する7月下旬から8月上旬には、天体観測と講演会等の多彩な催しが予定されている。

 天の川に想いを馳せつつ、京都の夜空から身近になってきた広大な宇宙空間を展望してみたい。(M)

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