コラムCOLUMN

2018/06/01

2018.06 新京都八景…梅雨の晴れ間に青もみじ 闇深まりて蛍舞う

青もみじ 今年の梅雨入りは、例年よりも10日余り早いそうだ。京の梅雨は蒸し暑い。夏はもっと暑い。梅雨も猛暑もまとめて早く過ぎてくれればと、秋になるのを待ち望む。だが、年々暑い期間が長くなって、最近は11月末頃まで暑く、朝夕の寒暖の差も余り無い。なので、紅葉は色づかず、茶色くなって枯れ落ちてしまうことが多い。

 そこで、青もみじ。ライトアップして夜の鑑賞会も行われているが、青もみじは梅雨の晴れ間の青空に映えてこそ美しい。青々とした新緑の若葉が幾重にも重なって、まぶしい初夏の陽光に若々しい生気を放っている。神社仏閣、広場公園の至る所にある楓の木陰を散策すれば、秋の紅葉シーズンでは楽しめない青もみじの爽やかな香りをゆっくりと満喫できる。

 そして、蛍。勿論夜である。どちらかと言うと雨上がりとか、雨の前のムシムシするジトーとした夜が絶好の機会である。闇の深さが蛍の淡い灯りを際立たせる。
 かつては、鴨川やその支流で見かけられた蛍が姿を消して何年も経つが、この数年市内の水辺で蛍の舞を見かけられるようになってきた。自生の蛍を見れなくなって以来、商業施設の鑑賞会などで数百匹単位で放流されていたが、その蛍が生息できるように自然が回復してきたのか、蛍或は人工的に孵化されて生育しているのだろうか?流石に木屋町の高瀬川や祇園の白川では見かけないが、鴨川傍流のみそそぎ川や上流域の下鴨・上賀茂の小川、北白川(疎水)や、或は八瀬、大原、貴船さらに宇治や亀岡など、時と場所によっては乱舞と言えるほどの蛍が飛び交っている。わずか10日間程度の成虫の命だからこそ、夏の夜の集中燃焼なのかも知れない。

 昼日中は青もみじ、夜は蛍の饗宴で、蒸し暑い京都の梅雨を楽しみたい。(M)

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