コラムcolumn
2025年11月25日
住民対象の財政講座の実施

公共施設の再生や公会計改革の推進を進めていくためにはどうしたらよいのでしょうか?最終的には住民の合意が必要となるのではないでしょうか?私が習志野市に在職中に住民を対象とした財政講座を実施したことがあります。今後、議論されるだろう施設の統廃合の各論の話ではなく、日本の財政状況や習志野市の財政状況などの総論の話を聞いてもらいたいとの趣旨です。
この講座は「みんなで考えよう!わが都市(まち)の財政状況~わかりやすい財政講座~」のキャッチフレーズのもと企画しました。当時の募集チラシに記載した企画の目的を紹介します。
そこで、行政と市民の皆さんが、財政問題についての基本的な情報を共有し、市民の皆さんに、現在の市の財政状況を理解していただくことを目的とした、財政学習会を開催いたします。習志野市の財政問題について市担当者が解説し、さまざまな疑問にお答えしながら、理解を深めていただく学習会です。
会場は習志野市のすべての公民館(7か所)で、平日働いている住民の方にも来てもらいたいとの思いで日曜日に実施しました。開催の初日が下記内容です。

日 時:平成21年5月14日(日)13時~15時
場 所:菊田公民館 会議室
参加者:住民2名
広報紙やホームページ、公民館でのチラシ配布などで開催を周知し、地元ケーブルテレビの取材撮影を行いました。結果は、来場した市民が2人であり、今後の住民合意の周知活動が困難を極めることを実感しました。よく「説明責任」ということが求められますが、説明すべき住民に説明を聞いてもらう第一歩がいかに大変なことか。さらに、聞いていただいた内容を理解し、納得してもらわねばならないのです。参加していただいた市民の方からは、講座の内容について多くの質問が寄せられ、市民の声を直接聞かれたことは成果がありました。
・職員の人数カットはやめるべき。人を育てるのに10年かかる。それよりも議員の定数を見直した方がよい。
・歳入は市税だけではダメである。+αをどのように確保するかが問題である。
東京から30分の利便性を生かせばいい。
・市の将来像はどうなのか。(市長の方針は?)きちんと明確にしてもらいたい。
・市役所は狭い、きたない。➡わがまちのシンボルとしてはどうか。建て直すべきである。
・公民館は40年の歴史(菊田公民館)があり、有益な市民の基地である。きちんとその効果を示すべきである。
重要施策は市民と相談してもらいたい。
・JR津田沼駅南口開発の経済効果について、きちんと考えてほしい。
・時代の流れによって、施策が変わっていない。➡施策も流れに沿って変更すべき。
今回紹介した事例を踏まえ、習志野市では住民に対する周知活動をしてきました。数年後に今回会場となった菊田公民館が老朽化により廃止の計画があったのですが、その際、反対集会が菊田公民の講堂で実施され、定員(160人)を超えるような住民が集まりました。各論の話、住民の利害に関係すると住民も足を運ぶのが現実にあります。
多くの自治体が公共施設の統廃合等の実施にあたり、住民の痛みを伴う、住民合意の困難さに気づくのではないかと感じています。
システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)