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2014/02/03

2014年2月 京のゲート 京文化への入口『京都国立博物館 表門』

 6年もの年月をかけて行われていた平成知新館の建替工事がようやく竣工の時を迎え、今年の秋9月13日いよいよ開館する。
 今はまだ工事のため閉鎖されているが、京都国立博物館の表門(正門)は、門自体が国の重要文化財である。レンガ造りの重厚な門の正面には、噴水のある広々とした中庭をはさんで本館(現特別展示館)が見える。ネオ・バロック様式の堂々たる建物であるが、赤レンガのさびた色合いが神社仏閣の多いこの界隈の景観に溶け込んでいる。

 この表門は1895年(明治28年)、本館と共に建設された。設計はわが国洋風建築の先駆者である片山東熊(トウクマ)。元々は長州藩士で奇兵隊に入隊し、戊辰戦争にも参戦していたが、維新後は建築家に転身して東宮御所(現迎賓館)や日本赤十字病院など、西欧の建築デザインと工法を取入れた大規模建築の設計を行った。

 しかし、西欧的外観とは違って京都国立博物館は日本文化の殿堂―クールジャパンの宝庫である。維新後の混乱で散逸しかけた京都の歴史的文化財を中心に、仏像彫刻、書画、工芸品、古文書等の収蔵・寄託品は実に12,622件。それらの展示の外、随時企画展覧会が開催され、時に京都発祥の落語の寄席や音楽会も開催されるなど多彩な活動が行われている。その表門は、将しく京都文化への入り口であり、今秋の竣工・全面開館が待ち遠しい。(M)

(京都国立博物館は京阪七条駅下車東へ徒歩10分、京都本社より車で10分の位置にあります)

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