コラムcolumn

2022年08月02日

今後の地方公会計のあり方に関する研究会①

総務省は、8月1日、「今後の地方公会計のあり方に関する研究会」を開催した。総務省の地方公会計に関する研究会の開催は、令和元年6月27日から開催されていた「地方公会計の推進に関する研究会」以来となる。

議論されるテーマ

(1)地方公会計情報の一層の活用方法の検討
・固定資産台帳の活用(公共施設マネジメント等)
・財務書類の活用(セグメント分析)
(2)統一的な基準の検証・改善
・固定資産台帳の精緻化(精度の底上げ、施設との紐付け)
・固定資産台帳と他の台帳(公有財産台帳等)との連携
・財務書類の計上方法の精査
・予算執行との連携による早期作成・精緻化・負担軽減

本研究会の開催は、統一的な基準による地方公会計について、地方公会計情報が地方行財政運営に一層活用されること等が必要であることから、統一的な基準等の検証及び改善、地方公会計情報の継続的かつ具体的な活用手法等について検討を行うためとしている。

今後議論されるテーマは、大きく二つあり、一つは「地方公会計情報の一層の活用方法の検討」、もう一つは、「統一的な基準の検証・改善」である。

《地方公会計情報の一層の活用方法の検討》

冒頭、総務省の原邦彰自治財政局長より「統一的な基準を策定した当時から、財務書類を作ることが目的ではなく、ぜひ使ってくださいと言ってセグメント分析等の必要性を訴えてきた。八年経っても二割しか活用されていないという話なので、活用していただくためにもう一回リスタートさせるのがこの研究会の一つの目的である」と挨拶があり、「地方公会計情報の一層の活用方法の検討」に対して、総務省の意気込みが感じられた。

今後、固定資産台帳の活用、公共施設等総合管理計画や個別施設計画への活用に加え、固定資産台帳の施設別総括表(いわゆる「施設カルテ」)について、議論されるものと思われる。

《統一的な基準の検証・改善》

もう一つの大きなテーマである「統一的な基準の検証・改善」でも、委員から活発な意見が出された。

その一つ「固定資産台帳の精緻化」に関して、「固定資産台帳そのものの公表をもう少し強く求めても良いのはないか」という意見も出された。公表できるところまで水準を高めることで精緻化を進める狙いと思われる。当社の調べでによると、今年5月31日現在、ホームページ等で固定資産台帳を公表している団体は、全国1788団体中726団体で、公表率は約40%にとどまっている。

「予算執行との連携による早期作成・精緻化・負担軽減」に関して、委員から「財務書類を作るのが遅い」という現状認識もあり、「仕訳のタイミングを分散化させる」ことや「日々仕訳」などの発言も見られた。総務省は、あらかじめ予算科目に公会計の勘定科目を関連付けることにも言及しており、単なる日々仕訳ではない方法も検討していきたい考え。

その他、所有外資産の問題も含め、統一的な基準の策定から八年が経過し、当初は全自治体に固定資産台帳の整備や財務書類の作成を要請する観点から許容されていた部分の見直しについても、今後議論されるものと思われる。