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2020/01/01

2020.01 レトロ京都…“をけら参り”で迎える新年、晴れ着が似合うレトロな四条通

新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

をけら参り 年の初めは、先ずは初詣である。知恩院で除夜の鐘の音を聞いて、年が代わればその足で八坂神社へ『をけら参り』。『をけら』といっても昆虫ではない。初夏から秋にかけて咲く山野草の名で、その根茎は胃腸に効く漢方薬になると言われている。八坂神社では元旦に疫病除けに乾燥させた『をけら』を焚いて、その火を『朮(をけら)灯籠』に移し、参拝者に分け与える。参拝者はその火を竹縄に灯して持ち帰り、雑煮の種火や燈明に点火して家中の無病息災を願う。
 除夜にはお寺にお参りして過ぎし一年を感謝し、0時回ればその足で神社に詣でて新年の願い事をする。「神様仏様どっちでも…」この変わり身の早さにはインド人もびっくりの日本教である。

 八百万(やおよろず)全てのモノに神宿る。至る所に宿っていらっしゃる日本の神様。八坂神社には牛頭大王やらスサノオの命やら、その他沢山の神様がいらして、明治以降には蘇民将来まで祀られ、今となっては仏教系か神道系なのか或は土俗の神様なのか、色んな神様が祀られているから頼み甲斐があるのか。何はともあれ初詣は八坂神社にと、四条通りを東に向かうこの日ばかりは善男善女。

お正月 150年前の蛤御門の変以後は、京都は戦火にあったことが無い。だから、八坂神社はもちろん、明治、大正期の建物も昭和、平成の建物も残っている。四条川端の南座はつい最近内装が一新されたが、外観デザインは代わっていない。その向かいの菊水ビルは、カフェのメニューは代わったが洒落た洋風デザインは代わらず、四条大橋西詰の東華菜館はメニューも味もそのままで、エレベーターまで手動のスケルトン。文化人や哲学者が集った四条小橋下るのフランソワは、今もチーズケーキとミルクコーヒーが定番だとか!
 そして、なんと言っても花見小路の『一力』の弁柄塀、黒赤茶の紅殻が街角をしっとりと彩る。レトロと言うより、これはもうアートそのもの!

 四条通りを歩く晴れ着姿も、はんなりと着こなされてレトロな通りに溶け込んでいく。(M)

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