コラムcolumn

2026年08月24日

事業仕分けは役立ったのか?

 事業仕分けは、国や自治体が行っている行政サービスや事業について、必要かどうか、どの程度の予算が妥当かを公開の場で議論し、続けるか・やめるか・縮小するかなどを分類する取り組みのことです。日本では2002年、シンクタンク構想日本によって自治体を対象として行われたものであり、2009年11月に当時の民主党政権が行政刷新会議のもとで実施したことで一気に有名になりましたのでご存じの方も多いと思います。
 習志野市においても財政部の経営改革推進室が中心となり、2008年10月25日に構想日本と協働で実施しました。そのときの資料の一部を紹介します。

~習志野市「事業仕分け」を傍聴されるみなさまへ~
 「事業仕分け」とは、事業そのものの必要性や改善の余地、本来の実施主体はどこなのかなど、これまでの事業の進め方について、市民と第三者の視点を交えて、公開の場で検証・議論し、今後の公共サービスのあり方について考えることで、行財政の改革・改善に役立てるものです。習志野市では、その結果を踏まえ、今後の事業運営の参考にするとともに、将来の公共サービスをどのように担うべきかも併せて考えていきます。
1.対象事業 29事業
2.仕分け作業参加者 コーディネーター・外部仕分け人・市民仕分け人・事業説明者
3.作業の流れ 事業説明    5分程度(習志野市職員)
        質疑・議論  20分程度(仕分け人⇔習志野市職員)
        評価      5分程度(仕分け人の多数決による採決・理由説明)
4.仕分けの区分
  事業そのものの要・不要や仕事のやり方を議論することにより、次の5区分に仕分けます。
  ①廃止すべきもの(不要)
  ②民間の実施が適当なもの
  ③国・県の実施が適当なもの
  ④市の実施が適当だが改善を要するもの
  ⑤市の実施が適当なもの(現行どおり)
5.注意事項
  仕分け結果を踏まえ、事業の見直しをします。なお、仕分け結果は、事業の最終判断ではありません。

 事業仕分けの対象となった29事業のひとつ「重度心身障害者(児)医療給付事業」が当時、私の担当業務であったため、仕分け作業に参加し、事業説明、質疑、議論を経て評価を受けました。この事業は、重度の障害者に対して医療費の自己負担分を助成するもので、予算措置2億円規模であり、半額は県の財源という内容です。このような事業を仕分け人が廃止すべきものと判断できるのかについては疑問を持っていました。
 事業仕分けの作業の流れはマニュアル化されていました。まずは、現在の事業は必要なものか、必要でなければ仕分け区分の①廃止すべきもの(不要)となり、必要であるなら、それは行政が実施すべきものか、あるいは民間が実施すべきものであれば、仕分け区分の②民間の実施が適当なものと仕分けされます。次に、行政が実施するのに、国や県が実施するのが適当なものは③国・県の実施が適当なものとして仕分けされます。次に市の実施が適当な場合について、④市の実施が適当だが改善を要するものと⑤市の実施が適当なもの(現行どおり)に仕分けされます。
 事業仕分けで期待されていたのは仕分け区分①廃止すべきもの(不要)の洗い出しかと思います。それでは私の担当している障害者に対する医療費の給付事業の仕分けは④市の実施が適当だが改善を要するものとして仕分けされました。市の決定としては⑤市の実施が適当なもの(現行どおり)ということになりました。
 この事業仕分けが役立ったと言える面として、それまで市役所内部のブラックボックスだった予算の中身や編成プロセスを公開の場に出したことは、予算の「見える化」として評価できます。また、民間出身の「仕分け人」が参加することで、「なぜこんな事業にこんなにお金が」という住民の問題意識を高めた効果もあります。
 国での事業仕分けはメディア中継も相まって「政治ショー」の色合いが強くなり、限られた時間での質疑応答で長期投資型の事業が軽く扱われたという批判があります。また科学技術、文化、教育、インフラなど、本来は長期視点で評価すべき分野が「目に見える成果がすぐ出ない」として削られ、将来の成長の芽を摘んだ可能性を指摘する声もありました。
政策全体から見たときの限界として、個々の事業単位での評価にとどまり、政策全体の優先順位や他事業との関連といった「大きな設計図」を踏まえた議論になりにくいという、制度上の限界が指摘されています。
 自治体の事業仕分けは、派手な“仕分けショー”としては一巡しましたが『行政が自分の仕事を住民に説明し、共に選び直す』という効果があり、それが静かなかたちで評価制度や対話の場へと引き継がれていけばよいと思います。

システムディ顧問 宮澤 正泰(元習志野市会計管理者)