コラムCOLUMN

2012/11/01

2012年11月 京の水-伏見・濠川

 京都には港もあれば港町もある。港には色街がつき物だが、さすがに今は無い。しかし、美味しい水は今もある。

 鴨川、桂川、宇治川の3本の川が流れ込む伏見。秀吉による伏見城築城の際にはお濠に宇治川から水を引いて濠川(ほりかわ)とし、伏見の中心部を還流するようになった。さらに江戸時代には高瀬川によって京都中心部とつながり、伏見浜、弁天浜などの船着場一帯が港町として賑わっていたとのこと。
 幕末には瀬戸内を通って大阪に着いた西南雄藩の志士たちが跋扈し、寺田屋事件や竜馬襲撃の舞台ともなり、明治維新の幕を開けた。

 伏見はまた酒処でもある。平安時代から絶えることない御香宮神社の御香水をはじめ、至る所に伏流水が湧出てまろやかな伏見の清酒を醸造している。灘の男酒、伏見の女酒と言われるように、軟水を使っている伏見の酒は確かに艶っぽい。ほのかな甘さが、秋の夜長をまったりと包んでくれる。
 「まぁ ここらで一杯どうどすえ…?」(M)

 (濠川は、京阪中書島駅下車すぐにあります。本社より約25分です)

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