コラムCOLUMN

2012/09/01

2012年9月 京の水-深泥池

 1200年の歴史といわれる京都でも飛びっきり古い深泥池。
 おーよそ1万年前のウルム氷期の植物ミツガシワ等が今もあるというから、半端ではない。

 池の南東部には大きな浮島がある。酸性土壌の周囲の山から流れ込んだ雨水が有機物を分解せず、枯れた植物が堆積されて高層湿原になったとか。
 夏には浮上り、冬には沈む浮島には、寒冷地の植物であるミツガシワやホロムイソウ、温暖地のコケ類や食虫植物、珍しい水蜘蛛等多種多様な生物が自生し、トンボに至っては60種類以上もいるという国の天然記念物である。

 池周辺の都市化の過程では幾つかの怪談が囁かれた。すっかり市街地となった今、さすがに幽霊は出なくなったが、秋には今年も沢桔梗の青い花が咲くだろう。(M)

 (深泥池は、本社より車で鞍馬街道を北へ10分、岩倉に至る坂の手前に位置します)

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