コラムCOLUMN

2012/05/01

2012年5月 京の水-岩屋山志明院

 市内から北へ30分ほど車を走らせれば、そこは北山、深山幽谷の岩屋山。その谷間のせせらぎが集まって岩屋川となり、幾つかの川と合流してやがて鴨川となる。

 岩屋山一帯は飛鳥時代の650年、役行者が草創したと伝えられる志明院を中心にした山岳信仰の地であり、女人禁制を解いた稀有な修験道の行場である。
 また、志明院の境内には、空海が滝垢離をし、歌舞伎18番の鳴滝―鳴神上人伝説の舞台でもある飛龍の滝、菅原道真作の眼力不動を祀る神降窟に湧く霊水「岩屋香水」など、鴨川源流にふさわしい水の神が宿っている。

 5月になれば、関西では珍しい本石楠花の群落が艶やかな花を咲かせる一方、夜ともなれば座敷わらし(?)等のモノノケが出没して修行者を悩ますという、昼と夜で真逆な風情の鴨川源流なのである。 (M)

 (岩屋山志明院は、京都本社から上賀茂神社を経て雲ヶ畑街道を北上、車で約30分の位置にあります)

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