コラムCOLUMN

2011/06/01

2011年6月 京のパワー-明倫舎

2011 June 元禄バブルがはじけて、急激な不況が押し寄せた江戸後期、京都の織物屋の番頭から経営哲学者に転進した石田梅岩。この人が最初に私塾を開いたのが京都本社から徒歩5分の御池上る車屋町。塾費無料で身分・男女分け隔てなく入門出来たという。身分にとらわれない梅岩の商い哲学と顧客対応ノウハウは多くの共感を呼び、堺町通蛸薬師に移転した頃には門弟は150人超になっていた。

 これらの門弟達の中から手島堵庵や、柴田鳩翁等が輩出され石門心学として幕末から明治にかけて日本の近代化―産業革命をリードし、今も京都企業の社是や社訓となり、PHP研究所や稲盛和夫氏の盛和塾等にも継承されている。

 「先(客)も立ち、我も立つ」「商い(ビジネス)の持続的発展」「本業を通して社会的責任を果たす」等の梅岩の講話は、この大不況期の今、改めて噛み締めておきたい。(M)

 [写真は京都芸術センター。石門心学講舎―明倫舎の跡地に、明倫小学校を経て1993年に開設された。室町蛸薬師上るに位置し本社より徒歩7分]

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